- 伊藤治美
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では一箇所ずつ突撃~
・三和酒類(株)安心院葡萄酒工房
「いいちこ」を作り出す三和酒類が母体のワイナリーで安心院の盆地での寒暖差を利用し芳醇な香りをもつワイン作りが身上です。
イモリ谷というユニークな名前の畑から個性をあるシャルドネや、メルロを栽培。
本格的なシャンパーニュ方式で作られるシャルドネスパークリングも有名です。
ソーヴィニヨン・ブランは酸がしっかり骨格を作っていてキリッとした印象でした。
「シャルドネ以外の品種、プティマンサンや甲州、このソーヴィニヨン・ブランなど色々な品種に挑戦して九州のテロワールで香りがどう出るのか試したいとのこと。カベルネソーヴイニヨン、カベルネ・フランは無理でした~、ピノタージュやタナはいけるかも!」
というお話からどれだけ沢山試されてるんだろう!?と。
新しく果汁を一切酸化させないプレス機を導入されたそうで、ますます楽しみです!
・熊本ワイン(株
現在契約農家で葡萄を作ってもらっているそうですが、マスカットベリーAの古木を育てる農家さんもいらっしゃりそういった農家との連携を深めたいとのこと。
降水量が多く、夏暑くなる熊本では、レインカットで雨対策。
畝を高くして秘密兵器的なシートで覆い、周りに竹の排水溝・・・最先端と手作りが見事に一体になって、肥後魂をそこに見たような気がしました。
デブルバージュ後のオリ、旨味と考えて綺麗なものはそのまま利用されているそうですし、除菌は熱ではなく細かいフィルターを使用。
菊鹿シリーズの特にシャルドネが良い結果を出しているので、今後はシャルドネに力を入れると共に他の品種も模索していきたいとの事です。
・(有)都濃ワイン
1994年第3セクターにより創立。20年前から現在まで九州のワイン産業を牽引する代表的な存在で、そのワインは国内外で大きな評価を得ていらっしゃいます。
かっこよくて宮崎弁!ハリウッドで活躍する日本人みたいな赤尾さん(筆者イメージ)
宮崎のテロワール・・・火山性の薄い表土などの特徴を生かした宮崎県内栽培葡萄による気骨あるワイン作り
シャルドネはエステート違いでもはっきりと個性が現れていました。
黒土はソーヴィニヨン・ブランやピノ・ノワールの薫りに興味深い結果を出すそうで、ここで甲州をつくったらどうなるかな?という新しい挑戦には、私もワクワクしました。
でも、やはり宮崎は雨や台風の影響を受けるので、早熟の品種でないと難しいとのこと。
制約があるなかでも、最善をつくして挑戦する・・・男らしい!
「あと10年したら骨格しっかりした素晴らしい赤ワインもできる」そうなので、期待して待ちたいものです。
シャルドネは非常に個性あり熟成香が複雑。天然酵母でなくても、こんな香りは出るんだな・・・と感じました。
・都城ワイナリー
2004年設立、日本最南端のワイナリー、「神々の土地で古のお酒をつくる」「地域の人と地域の資源でつくる」をコンセプトに作っていらっしゃいます。
5人の社員さんで作る都城ワイナリーは日本最南端のワイナリーです。
フルーティで軽いと聞いていましたが、メルロに可能性を感じると仰る赤ワインには案外なボディがあり、しっかり作ってあると感じました。
霧島山麓は降水量は多いものの、水捌けが大変よくて、スポンジのように水も肥料もすぐに消えるとのこと。葡萄は痩せた土地がいいというけれど、肥料をやらないと痩せ細る。蓄積しない分、毎年肥料を試せる(笑)そうです。
都城は牛、豚、鶏ともに日本でも有数の畜産量があるお肉の国。
白いシャツがさわやかで気さくな山内さんは「白ワインは肉にレモンを絞る感覚で合わせて作りたい」と仰り、なるほど~と、新鮮でした。
九州は、日本酒はもとより、焼酎や泡盛のお膝元。
歴史的に大陸の影響を受けた文化が根付き、独特の食文化を背景にワインをつくっています。
和食とあわせて美味しいワインが多いのもそのためなのかもしれません。
大きな収穫いいただきました。
素晴らしいセミナーでしたが、九州は熊本での開催で、いらっしゃることができないかった方も多いと思います。少しでも情報の共有になれば幸いです。
ありがとうございました。