- ためになるワインの話, 岡田 知
- オレゴン・ワイン
- オレゴン・ワインのこと はコメントを受け付けていません

オレゴン・ワインのこと
アメリカワインといえば圧倒的にカリフォルニア州が有名ですが、カリフォルニア州の北に位置するオレゴン州、ワシントン州もワイン産地としての評価を上げてきているのをご存知ですか?
カリフォルニア州の北隣に位置するオレゴン州とその北にあるカナダと国境を接しているワシントン州は現在最も注目されているアメリカのワイン産地で、全米の9割近くの生産量を占めるカリフォルニア州に量的には及ばないものの、素晴らしい品質を備えたワインが数多く造られています。
この2つの州に広がるワイン生産地は15,000年前、氷河期の終わりに繰り返し引き起こされた大規模な連続氷河湖決壊洪水によってもたらされた土壌がテロワールの形成に大きな影響を与えています。
大洪水は、氷河湖の決壊により流れ出た大小の氷塊が大地を削り、コロンビア川を深い渓谷に変え、豊富にミネラルを含んだ土壌もたらし、洪水の後には大地に70mの堆積物を残したほど巨大なものでした。
全米生産量第4位のオレゴン州は今やピノ系葡萄品種の最適地のひとつとして世界的な認知度が高まってきています。
オレゴンワインの歴史は、「ピノ・パパ」と呼ばれるデヴィット・レッドがダンディ・ヒルズにピノ・ノワールを植えた1966年に始まります。そののち40年を経ずしてオレゴンのワイン用品種ブドウ栽培面積は13,400haへ急増しました。ブルゴーニュの名門、ジョセフ・ドルーアンがオレゴン州でのワイン造りに乗り出したことも、オレゴン州のポテンシャルの高さを証明しています。
火山の爆発で流れでた溶岩が形成した大地や、海洋性の堆積土壌が隆起した土地があり、さらに氷河期の大洪水でもたらされた土壌が堆積して形成された土地があったりと、ブルゴーニュのような多彩なテロワールが存在するのもオレゴン州の魅力のひとつかと思います。
溶岩が形成した大地(玄武岩)が風化してできた赤土の土壌は主にジョリー・ソイルと呼ばれ、この土壌から生まれるピノ・ノワールには赤いフルーツの風味が強く出るといわれています。
ブルゴーニュで言うとヴォーヌ・ロマネ的風味といったところでしょうか。
海洋性の体積土壌が隆起した土地はウィラ・ケンジーといわれる土壌で、そこから生まれるピノ・ノワールは黒系のフルーツとタンニンが感じられるのが特徴です。
力強い味わいとなるため、さしずめジュヴレ・シャンベルタンといった感じになるでしょうか。
氷河期の大洪水がもたらした土壌はウッドバーンと呼ばれ、肥沃な土地であるために高い品質のピノ・ノワールは生まれにくいといわれていますが、早くから柔らかい味わいが楽しむことができる、親しみやすい印象のピノ・ノワールが生まれます。
オレゴン州では大洪水の土砂が標高90メートルまで到達したため、90メートルを境に低い場所はウッドバーン、それよりも高い標高の土地はジョリー・ソイルやウィラ・ケンジー土壌が多く存在します。 このようなテロワールの違いを意識しながらオレゴンのピノ・ノワールを飲むとまた違った素晴らしさを発見できるかもしれません。 ワシントンワインの魅力はまた次回に!