- ためになるワインの話, 青木寛和
- 「シャトーとは?その定義やドメーヌとの違いを分かりやすく解説」 はコメントを受け付けていません

シャトーとドメーヌの違いって?
フランスワインのラベルを見ていると、「Chateau」(シャトー)や「Domaine」(ドメーヌ)の文字を見かける事があると思いますが、この「シャトー」や「ドメーヌ」とは何を指しているのかご存知でしょうか?
今回はこの2つの用語について解説をしていきたいと思います。
結論から申し上げるとどちらも基本的には同じで、「シャトー」も「ドメーヌ」もブドウ畑を所有しており、ブドウの栽培から瓶詰めまでのワイン製造を行う生産者の事を指しています。
それでは実際に何が違うかここからご説明していきます。
「シャトー」とは??
「シャトー」とはフランス語で「お城・大邸宅」を意味し、フランスのボルドー地方にて用いられます。1つの畑を1つのシャトーが保有し、お城のような邸宅を醸造所として、広大な敷地にワイナリーとしての大規模な設備を構えている所が多いです。
●「シャトー」の例
聞き覚えのあるシャトーでいうと、「五大シャトー」という言葉を聞いた事がある方も多いのではないでしょうか?
五大シャトーとは、1855年のパリ万国博覧会において、
フランスのボルドー・メドック地区の格付けで“第一級”の称号を与えられた
・シャトー・ラフィット・ロートシルト
・シャトー・ラトゥール
・シャトー・マルゴー
・シャトー・オー・ブリオン
1973年に昇格になった
・シャトー・ムートン・ロートシルト
の事を指します。
この「五大シャトー」はGakut様が毎年話題になるテレビ番組【芸能人格付けチェック】で出てくるようなボトル1本数十万円~100万円クラスのワインです。
もちろん高価なものだけでなく、シャトーの格付けは1級~5級までありますのでボトル1本1万円以内で購入できるワインも多々あります。
●「シャトー」を活かしたイベント
また、こういった有名シャトーの存在する、ボルドー地方のメドック地区では毎年【メドックマラソン】という
42.195kmのフルマラソンのお祭りが開催されています。
何がお祭りかというと、通常のマラソン大会とは違ってタイムを競うのは一部のランナーのみで、
残りのメンバーはタイムを競うのではなく、どれだけ楽しめるかに主をおいています。
なぜなら、
・毎年テーマが決められ仮装をして走る事
(2019年は「スーパーヒーロー」、2018年は「Amusement Park」、2017年は「Music in 33 rpmrecord」
2016年は「Tales and Legends」)
・給水所には各シャトー自慢のワインが振舞われる事
・ゴール直前にはフルコース(牡蠣やチーズやアイスクリームなど)
と夢のような楽しい1日だからです。
毎年9月上旬に開催されていて、約8500人程が参加しているようで、私も人生で1度は経験をしたいと思っているイベントなので、興味がある方がいらっしゃれば是非ご一緒にいかがでしょうか(笑)
「ドメーヌ」とは??
対して、「ドメーヌ」とは、フランス語で「所有地」を意味し、フランスのブルゴーニュ地方にて用いられます。シャトー同様で自分の畑でブドウを生産し、ワインを醸造・瓶詰めする者をさしますが、大きく異なる点としては1つの畑に対して複数の所有者がいるのが一般的です。その為、ワインのラベルの1番目立つ所にはボルドーのシャトー名と違い、畑の名前が描かれているのが特徴的です。
●「ドメーヌ」の例
有名なものでいうと、DRCなんて言葉を聞いた事がある方もいるのではないでしょうか?
ドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティの略です。
ドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティは
・リシュブール
・ラ・ターシュ
・ロマネ・コンティ
・ロマネ・サン・ヴィヴァン
・エシェゾー
・グラン・エシェゾー
・モンラッシェ
・コルトン
の8つの畑を所有し、そこから採れたブドウでワイン造りをしています。
●「ドメーヌ」の例外
先程シャトーとドメーヌの違いとして、畑を単独で所有するか複数で所有するかという話をしましたが、ブルゴーニュにも「モノポール」という単独所有している畑も中にはあります。
生産者が単独にて所有するという事、生産者の自慢の畑である事も多い為、優れた品質のワインが生まれやすいのが特徴です。
●モノポールの例
・シャブリ グラン・クリュ ラ・ムートンヌ
・リュショット・シャンベルタン クロ・デ・リュショット
・ロマネ・コンティ
・ラ・ターシュ
・ラ・ロマネ
・ラ・グランド・リュ
・コルトン・クロ・デ・コルトン
・シュヴァリエ・モンラッシェ クロ・デ・シュヴァリエ
・フィサン1er クロ・ナポレオン
・ジュヴレシャンベルタン 1er クロ・デ・ヴァロワイユ
など
「ネゴシアン」と呼ばれる生産者もいる
「ネゴシアン」とはワインの原料(ブドウやワインの原酒)を買い付け、ブレンドし自社製品として売り出す専門の業者の事を指します。特徴としては生産規模が大きく、複数の生産者から原料や原酒を調達する為、個性は少ないが品質は安定している傾向にあります。
●「ネゴシアン」の例
・カルベ社(ボルドーワイン)
・モメサン社(ブルゴニュワイン)
・ジョルジュ・デュブッフ社(ボジョレーワイン)
・ギガル社(ローヌーワイン)
などが挙げられます。
●「ネゴシアン」の新しい形
近年は、ネゴシアンとしてワイン造りをしていた「ルロワ社」が「ドメーヌ・ルロワ」を手掛けたり
その逆の大きなブドウ畑を所有しているドメーヌがネゴシアンの仕事に手を伸ばす例も増えてきています。
今回は、シャトーとドメーヌの違いをご紹介いたしました。少しは豆知識としてお話できる程度の参考になれば幸いです。
これからワインを選ぶ際に少しでも良いのでどんな作り方をされたのか想像しながらワインを楽しんで頂けると嬉しいです。