日本にもワイン法を制定しようという動きが出ています。

先日自民党参議院の世耕議員らを中心にワイン法を議員立法しようという話が浮上したそうです。歓迎ムードもありますが乗り越えるべき壁はたくさんあります。今日はワイン法ってなんだろうという話から起こりうる波紋もついて、ざっと考えてみたいと思います。
ワイン法

ワイン法ってどんな法律?

蛯原 健介氏は著書「はじめてのワイン法」にてワイン法には
 ワインの定義付け
 原産地呼称の管理
 ラベル記載内容の管理
という3つの事項がどの国でも決められており、最低限なルールだとされています。

話せば長くなるので今日は一番目のワインの定義付けの話についてお話しましょう。

ワインの定義とは何でしょう?

簡単に言うとワインとは
「しぼりたてのブドウを発酵させたもの」
です。

過去には乾燥ブドウを使ったものや、ブドウの搾りかすから作られたものがワインとして横行していました。それらの粗悪品に対してしぼりたてのブドウで造ったものだけをワインとして認めようというのが近代ワイン法の原点といっていいと思います。

実はこのワインの定義付けが難航するのではないかと考えています。

輸入果汁で国産ワイン?

僕は今スーパーで勤務していますが、スーパーで売っているワインといえば大手メーカーが作る輸入果汁で作った低価格品が主流です。(輸入果汁を使っても、国内で醸造すれば国産ワインと言えるのが法整備のない今の日本でのワイン現状なのです。)

日本ではワイン用ブドウ栽培が難しいとされ、農家もほとんどが生食用ブドウの栽培しかしていません。小規模の兼業農家も多いため、日本産の原料ブドウは海外に比べてかなり割高なものになりがちです。
一方、欧州では古くからワインが日常消費されてきましたので、ブドウの価格はかなり安くなります。衛生環境が悪かった時代の欧州では、ワインは水より安全に飲めるものとして生活必需品として大量に消費されていました。水よりもワインが安い国も多いことは皆さんもご存知かと思います。
しかし、それぐらい手軽に日本でもワインを飲んでもらおうと思っても国産原料でのワイン作りでは清涼飲料並みの価格を実現することは難しいんですね。
そこで少しでも多くの人にワインを召し上がっていただこうと必死の努力の結果として、酒税のかからないブドウ果汁を輸入して国内の工場で通年醸造したものが長く主流として流通の大部分を占めてきました。

輸入果汁のワインで国産ワイン?!

 日本でワイン法が出来たとして、輸入果汁を使ったこれらの商品がいかにしぼりたての国内原料製品と区別されるのかに注目しています。

 ワイン法はワインを海外に輸出するに当たり整備されるべき法律です。そこで海外の基準を日本でも厳しく運用しているということを宣言する意味合いもあります。輸入果汁を使ったワインが海外で区別される以上日本でも区別する必要があるでしょう。
 ワインを名乗ることが許されなくなりブドウ酒と名乗ればよいというものでもなさそうです。ワインと混同しやすいので消費者の誤解を招きかねません。こまったものです。

無添加ワインのこと

現在、【酸化防止剤無添加】という記載がされたワインが市場で大きな人気を博しています。
二酸化硫黄などの添加がされていないとのことですが、それは日本での製造工程においての話。外国で濃縮果汁を製造する段階で二酸化硫黄が添加されていたり、加熱処理を施していたりしても無添加という響きの良い文言を名乗れてしまうのです。

これらの商品がワインを名乗れなくなった時、消費者はどんな反応をするのでしょうか?

この文章をご覧の皆様にはあまり関係ない話に聞こえるかもしれません。
でも日本のワイン産業はこの手の安価な商品が9割という声まであります。
自分がふだん口にしているものなのに、話題にならないからこそ怖かったりします。

余談ですが

酸化防止剤の話が出ましたので、国産ブドウを使った無添加ワインのお話を。
山形の高畠ワイナリーが毎年ごく少量ですが二酸化硫黄無添加のシャルドネを作っています。日酒研が二酸化硫黄の添加こそワインと海鮮類、特に甲殻類との相性を妨げるという研究データをもとに実証すべく作ったものと伺いました。
実際にいかの刺身なんかと一緒に試飲すると効果がよくわかるそうです。
僕は試飲会でワインのみをいただきましたが大変美味でした。日本でも飲むに値するワインがあったんだと気付かせてくれたワインとなりました。

こういうワインが地産地消銘柄として確立、普段飲み用に流通してくれると大変助かるのですが、手間暇かかったそのワインはすぐに完売。大量生産には向かないようでした。

この記事を書いた人

話飲亭  満昭
話飲亭  満昭
カジュアルイタリアンを経て、某大手インポーター直営ワインショップに8年勤務。現在は東証一部上場スーパーでバイヤーをしてます。職場と離れて自由な発信をしたいため匿名で失礼しております。
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話飲亭  満昭

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カジュアルイタリアンを経て、某大手インポーター直営ワインショップに8年勤務。現在は東証一部上場スーパーでバイヤーをしてます。職場と離れて自由な発信をしたいため匿名で失礼しております。

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